2008
03.24

中区づくりシンポジウム「地域の未来を考えよう!」

事業:フォーラム/シンポジウム

3月22日(土)午後1時30分から、ホテルコンコルド浜松2階雲の間で、中区づくりシンポジウム「地域の未来を考えよう!」が行われました。
「20年後の私と浜松」というタイトルで、小学生から絵画を募集し、137点の応募の中から、今回20名の小学生が表彰され、それぞれの「20年後の私と浜松」について発表が行われました。会場内には、全部で85点の優秀な作品が展示されていました。
◆プログラム
 <第一部>
  オープニングアドレス・・・上野征洋さん(静岡文化芸術大学副学長)
  市長挨拶・記念品贈呈
  発表「20年後の私と浜松」・・・中区内小学生20名
 <第二部>
  パネルディスカッション~地域の未来を考えよう~
◆オープニングアドレス・・・上野征洋さん(静岡文化芸術大学副学長)
 今回のイベントは、「中区まるごと宝島」ということで、政令市となり1年経ったことと、体育館の45年という長い歴史に幕を引くということの2つの記念に、中区のいいところを見つめなおそうというものです。
 「街は暮らしの入れ物」であり、子どもにどんな暮らしをして欲しいか、どんな人になって欲しいかが、まちづくりをする中では大切で、それは、大人に責任があることです。大人になると知性や感性がなくなってくるのですが、まちづくりには知性と感性が必要ですということでした。
◆市長挨拶
 今回は、中区が初めて行うまちづくり事業です。現在、7つの区の特徴を生かして区づくりの事業があちらこちらで行われています。
中区は、浜松市の面積の3%という面積ですが、人口は全体の30%で、都市機能が集約されています。このような特徴のある中区の地域の未来を考えていく有意義な時間になって欲しいと話されました。
◆発表「20年後の私と浜松」
サッカー
今回選ばれた20名の子どもたちが、それぞれに、20年後の自分や浜松市がこうなって欲しいと願う気持ちを発表しました。
誰もが、「活気のあるまち」「たくさんの人であふれているまち」「住みよいまち」「地球温暖化を防ぐための開発がされたまち」「ユニバーサルデザインのまち」ということを考えていたようです。
たとえば、「地球温暖化を防ぐ」ということで、ソーラーカーや風力発電機能を備えた車が走り、渋滞や大気汚染を防ぐために、車は空の高いところを走り、子どもも年寄りもみんな笑顔で暮らせるまちを願っているものでした。
◆パネルディスカッション ~地域の未来を考えよう~
 コーディネーター・・上野征洋さん(静岡文化芸術大学副学長)
 パネラー・・・・・・鈴木重子さん(ヴォーカリスト)
           スズキコージさん(画家)
           富田久恵さん
            (コミュニティレストラン「てまえみそ」管理人)
           橋本憲幸さん(アソカ学園遠州浜幼稚園園長)
中区づくりシンポジウム
<自分たちが子どもの頃>
パネラーの年齢により、子どもの頃というのがどれくらい前のことなのかが違うのですが、それぞれに、年齢のギャップが感じられ、面白かったです。
特に面白かったのは、スズキコージ氏の子どもの頃で、田んぼや畑ばかりで、キツネやタヌキが良く出てきたそうです。また、道路もアスファルトで舗装されているところはほとんどなく、砂利道で、イヌはほとんどが放し飼いで、車が1日に1~2台しか通らないから、県道の真ん中で昼寝をしているイヌもいたそうです。子どもたちは車が珍しく、車の排気ガスが出てくるところに顔を近づけて、排気ガスを吸い込んだり、どぶもきれいだったので、どぶの中で遊んだりして、どぶに流れてきたそうめんを食べたこともあるそうです。
その頃に比べると、地球環境を危ぶむ子どもたちの絵を見て、大人の責任を感じ、刺されたみたいな気持ちになったそうです。
富田久恵氏は、自分が10歳の頃は、家にテレビも電話もなく、自分の家にテレビが来た時の感動はすごかったそうです。だから、将来こんなにハイテクになるということや、子どもの頃から地球温暖化で頭を悩ますなど、想像もできなかったそうです。自分は、食を通じて元気になるといいなと思い、20年後の自分を考えて「てまえみそ」をつくったので、20年後の70代の自分が、地域の人とわいわい楽しく過ごせているといいなと思ったそうです。
鈴木重子氏は、子どもの頃、「世界が平和になるにはどうしたらいいのか」ということを考えていた少し変わった小学生だったそうです。
橋本憲幸氏は、自分が小学5年生の2学期に、学校の作文で「大きくなったら改造人間になって、正義の味方になり、悪いやつを捕まえたい」と真剣に書き、親は学校に呼び出され「5年生で真剣にこのようなことを書いているようでは・・・。」といわれたことを思い出したそうです。それに比べると今回選ばれた子どもたちはすごいと思う。ぜひ、家でこの絵をしばらく飾って欲しい。今の子どもたちのピュアな気持ちを、時間がたったときに思い出せるようにして欲しいということでした。
<子どもたちへ>
橋本氏は、最近学校の帰りに寄り道をしてはいけないと言うけれど、「寄り道」の中に発見があり、その中で感性や感受性が磨かれることがあるので、寄り道も時には必要であるということでした。
富田氏は、外国人やお年寄りと共生できるまちというのは、自分の考えていることと同じでとてもうれしく思いました。コミュニティづくりやまちづくりにも、今から一緒に参加してくれるといいなと思ったそうです。
また、夢は年齢と共に変わっていきますが、根底にあるものは同じなので、夢に対して回り道してもいいので、夢を大事にして欲しいということでした。
コージ氏は、最近、水性の絵の具を使って手で絵を描くのに凝っていて、子どもたちはそれを見てびっくりしているそうです。このやり方は、服も髪も、絵の具でどろどろになるそうですが、子どもたちも、自分の好きなことを好きなようになればいいと思う。自分は子どもの頃、教科書のあいているところに絵ばかり描いていて勉強しなかったけれど、今はこうなった。だから、みんなも好きなことをどんどんやればいいと思うといいました。
子どもたちの絵の中には、衝撃的なものもありました。たとえば、20年後は、地球温暖化がすすんで地上では生活できないと思い、地下で生活しているという絵がありました。
子どもたちが、地球温暖化についてこんなに危機感を感じているということや、子どももお年よりも外国人も障がい者もみんなが笑顔でいられるまちであって欲しいと願う気持ちが伝わってきた1日でした。また、子どもたちにそう感じさせてしまっている浜松、あるいは地球をつくってしまっている大人として、責任を感じるとともに、何とかしないといけないと思いました。そして、子どもたちを含めて、これからどうするべきかを考え行動して行きたいと思いました。
(わかば)