2015
11.04

『はなちゃんのみそ汁』

事業:女性のがん検診

この本は、昨年テレビドラマでも放映された実話(映画は、平成28年1月9日公開)で、とても反響があったものですから、ご存じの方は多いと思います。

はなちゃんのみそ汁
はなちゃんのみそ汁

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安武信吾・千恵・はな
文藝春秋
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千恵さんはこれから結婚をしようという時に乳がんであることがわかり、全身転移を防ぐために、左乳房の全摘出と左脇リンパ節の切除を勧められます。世間では病気がわかることによって、結婚の話がなくなってしまうこともよくあります。乳がんの治療によって、子どもが産めなくなってしまうこともあり、結婚しても子どもに恵まれない可能性もあるからです。
千恵さんは、奇跡的に乳がんの治療後、妊娠し、出産します。出産まで、決してスムーズだったわけではなく、たくさんの葛藤があったのです。そしてそのたびに、たくさんの人との出会いとその支えがあったのです。その中には、福岡県早良区の高取保育園の西福江園長や、ホールフード(マクロビオティックだけに固執するのではなく、地球の環境のために生き方をただそうとする考え)のタカコ・ナカムラさん、患者との信頼関係を基に代替療法を行っている医師(本の中では「ブラック・ジャック」といっている)たちとの出会いにより、生活習慣、特に食習慣を徹底的に見直していきました。闘病中に始めた千恵さんのブログに、その様子が書かれています。決してそれを他人に勧めようというものではありません。この本の中には、記録として書かれているブログの内容と、病と闘うために、生活を改め、治療を行い、その中に気持ちの浮き沈みがあり、時に子どもに当たってしまい、当たってしまったことに落ち込み、いつも応援してくれる夫信吾さんとも、常に良い関係ではなく、お互いに苛立ちを感じることなどが、信吾さんの目線で書かれています。「QOL(quality of life)」という言葉をよく耳にしますが、「生活の質」を上げるのは、闘病中の人にとっては、容易いことではないのです。
その中でひとつ救われるのは、奇跡的に生まれたはなちゃんの無邪気さです。この存在が、千恵さんのどれだけ大きな支えとなっていたか、はかり知れません。
こうした経験者の話を知ると、病とは本当に恐ろしいと感じます。罹った本人だけでなく、家族からも平穏な日常生活を平気で奪っていきます。
病気にかからない方が良いに決まっています。万が一病気に罹ってしまったとしても、早期発見することが大切です。千恵さんも自分の胸に異常を感じつつも、「まさか自分が」ということからすぐに受診しませんでした。「もっと早く病院で受診していたら」と、大きな病気がわかった人からよく聞く言葉です。そういう後悔をしないためにも、定期的に検診を受け、たとえ検診を受けていても、異常を感じたらすぐに受診してほしいと思います。
浜松市では毎年4月に、がん検診の無料クーポンが、対象年齢の人に郵送されます。せっかく届いたのですから、使ってください。今年度のクーポンが使える期間は、平成28年2月28日までです。過去には、期間の終わりごろになると予約が殺到して、結局予約できずに検診を受けられなかったという人もいたという話をこれまでに聞いたことがありますので、早目に検診の予約をすることをお勧めします。

(わかば)
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