06.12
2019 浜松市保育園申込状況のまとめ
2019年4月1日時点の浜松市の待機児童数は31名でした。
認定NPO法人はままつ子育てネットワークぴっぴは、働きたい親から子どもの預け先の相談を受け、数年来、待機児童数の推移を調査分析してきました。
下のグラフを見ていただければ一目瞭然ですが、待機児童数は、ピークだった2015年の407人から比べて、10分の1以下に減りました。この5年間に保育施設の整備も急ピッチで進められ、5000人分以上の定員増が行われました。
待機児童が31人なのに対して、保留児童が446人いるのは、その定義の違いがあるからです。国の待機児童対策のもと、企業主導型保育事業など、認可外の保育所の整備も並行して進み、預け先は多様になってきています。それらの認可外施設に預けていながら、認可保育所への転園を希望しているような場合、特定の園のみを希望している場合、具体的な就職活動が確認されない場合などは、待機児童の定義に入らず、保留児童としてカウントされます。
待機児童解消がようやく見えてきた
待機児童解消まであと一息のところまで来ていますが、残っている課題も挙げられます。
- 0が見えてきたとはいえ、31人の待機児童がいること。
- 待機児童ではないが、入園希望をしている保留児童が446人いること。
- 低年齢児の年度途中の入園が難しく、年度末に向けて待機児童が増えていくこと。
待機児童数が発表されるのは、年度当初の数になります。
下のグラフは、昨年平成30年度の月別募集人数の年間推移となりますが、月を経るごとに募集人数がどんどん減っています。
特に0~2歳の募集枠に関しては、年度後半には、かなり少なくなっていきました。
4月時点で定員の大半が埋まる1歳児、2歳児は高止まり。
0歳児は、春先は少し余裕があるものの、子どもが1歳の誕生日を徐々に迎え、育休終了の職場復帰での入園者が増えてくる秋以降の入園は、全年齢児の中で最も厳しくなります。「0歳児なら保育園に入りやすい」というのは、「0歳児4月なら保育園に入りやすい」が現状です。
育児休業は、子どもが1歳の誕生日の前日までの1年間となっており、職場復帰の当月から保育園に入園することが可能です。
そのため、比較的入りやすいと言われている、0歳児の4月に合わせて、育児休業を1年未満で繰り上げる人、育休復帰のタイミングで申し込んだが入園できずに育児休業を延長する人が出ています。これらは、本人が望む形ではないと考えられます。
待機児童が「0」になるだけでなく、納得いく環境での保育が受けられるようになり、入園時期の調整をしなくても希望の時期に保育園に入れるようになった時に、待機児童問題が解決したと言えるでしょう。
「働き方改革」と「女性活躍推進」の関係
最近ニュースでもよく耳にする「働き方改革」
“残業をやめて長時間を減らすこと”と捉えられがちですが、“多様な人材が活躍できる労働環境を作っていく”というもっと大きな意図があります。業務の効率化はもちろんですが、人材不足を補うための新たな労働力として女性や高齢者などが、子育てや介護をしながらも働きやすい環境作りが求められています。
雇用における男女間差別の撤廃、妊娠出産への配慮などが求められた男女雇用機会均等法が改正されたのは、昭和の時代です。女性の社会進出は以前から期待されていたのです。
ところが、現実には、出産や育児と仕事の両立が難しく、スキルがあっても仕事を辞めてしまったり、管理職など責任のある仕事(=同時に休みづらく帰りづらい)への昇進を断ったりするケースが後を絶ちませんでした。
その理由の一つが、保育園に入れず、働きたくても子どもの預け先がなく働けないという待機児童問題でした。
それから30年あまりが経ち、時代は平成から令和になりました。
女性の働き続ける意識が上がっていますし、産休育休、時短制度の充実により、子どもを育てながらも働きやすい環境が整ってきています。
今年10月からは、幼児教育・保育の無償化が開始されます。
保育施設を利用したいという親は、ますます増えていくことが予想されます。
働く親が増えてくることで、今度は別の課題も浮上してきています。
次回は小学生の放課後の居場所である学童保育の待機児童の現状について、取り上げていきます。