2019
07.24

2019 放課後児童会の状況

ぴっぴのニュースクローズアップ

ぴっぴのニュースクローズアップ

いよいよ夏休みがやってきました。長い夏休み、毎日、子どもの居場所を確保するだけでも結構、たいへんです。働く親にとってはなおさら。一日中、子どもだけにしておかなくてはならないかもしれないと考えると気が気ではありませんね。

保育施設の待機児童は、保育施設数の増加によりずいぶんと減少してきました。しかし、小学校に上がると、また新たな壁が待ち構えることになるのです。

全国的にも待機児童数は増え続けている

国の施策により「女性活躍推進」が進められています。「結婚・妊娠・出産・育児の切れ目ない支援」は子どものいる女性のライフステージにおいて重要です。働く女性にとって、乳幼児時期は苦労するけれどなんとか保育の確保はできるようになってきました。しかし、小学校に入ると、また、放課後児童会の入会に苦労することになるのが、子育て家庭の現状です。図1を見ると、登録児童数の増加とともにクラブ(児童会)数も増設されているにも関わらず、待機児童数は緩やかながらも増えています。
放課後児童会の状況

図1.全国の放課後児童会の状況(各年度5月1日の時点 厚生労働省調査より一部抜粋)

浜松市の待機児童の状況

浜松市の放課後児童会の待機児童の推移を見ていきます。
区別の待機児童の推移

図2.平成27年から令和元年の5月1日時点における待機児童数の推移

図2は、平成27年から令和元年5月1日時点における浜松市内の放課後児童会の待機児童状況です。平成27年から平成29年までに81人増え、平成30年で一旦37人減少するのですが、令和元年には一気に120人ほど増加しています。

表1.令和元年行政区ごとの登録児童数および待機児童数

箇所数 登録児童数 定員 待機児童数
中区 39 1,697 1,745 130
東区 23 1,064 1,079 93
西区 19 938 946 41
南区 17 689 754 68
北区 17 738 779 117
浜北区 23 1,019 1,095 22
天竜区 4 109 129 0
総計 142 6,254 6,527 471

しかし、行政区ごとの登録児童数および待機児童数を表した表1の定員と登録児童数の関係を見ると、定員割れしているのがわかります。これはなぜなのでしょう? 放課後児童会の場合は保育施設と異なり、児童は原則校区以外の放課後児童会には通うことができません。放課後、児童が自ら歩いて行ける場所となっているため、1つの放課後児童会に申込が殺到した場合、待機児童が発生するということになります。従って、定員割れてしている放課後児童会がある一方、申込が集中して入れない放課後児童会が増えると待機児童数が増加するという現象が起きているのです。
中区と北区では、特に集中した放課後児童会があるために待機児童が多いことがわかります。

学年で見るとどうでしょうか。
図3.は平成27年から令和元年まで(各年5月1日の時点)の学年ごとの待機児童の推移を表しています。
学年別の待機児童の推移

図3.学年ごとの待機児童数の推移

厚生労働省は「放課後児童クラブ運営指針」を策定し、平成27年4月1日より適用を開始しました。小学1年生~3年生だった対象学年を、小学6年生までに拡大しました。学年が上がるにつれてクラブ活動や塾などに通う子どもたちも増え、入会をあえて望まない家庭も増えてきます。しかし、小学4年生は、まだひとりで置いておくのは心配という親も多いのでしょう。入会可能となったので申し込んだけれども、定員いっぱいで結局入会ができないというケースが多いようです。浜松市では、小学4年生に待機児童数のピークが平成27年、平成28年、平成29年とあります。3年間続いた後、今度はピークが小学3年生に移ってきています。

学年が低いほど、放課後児童会選考基準点が高いので小学1年生、2年生は優先して入会できます。小学1年生は30点、2年生は25点と学年が上がるにつれて5点ずつ減っていき、6年生は5点となりますので、低学年の入会が多ければ高学年にいくほど入会できません。
学年別登録児童数

図4.学年別登録児童数(令和元年5月1日現在)

次に浜松市の行政区ごとの学年登録児童数を見てみます。令和元年5月1日の状況が図4です。登録児童数は小学1年、2年生、3年生が多くなっています。小学4年生以上はあまり入会できないとあきらめている家庭が多いためか、登録が極端に少なくなっています。
学年別待機児童数

図5.学年別待機児童数(令和元年5月1日現在)

図5の学年別待機児童数からは、小学3、4年生となると100人以上の待機となっているのがわかります。今年は中区と北区の待機児童数が多くなっています。

浜松市の放課後児童会はどうなっていくの?

浜松市は5月に『浜松市戦略計画2019』を公表し、子育て・教育分野では、「放課後児童会の待機児童を解消するため、実施箇所の拡大により定員の増を図ります」ということで、平成30年定員数6,299人に対して300人増加すると述べています。
数だけで見れば、令和元年の待機児童数は471人。300人増加させてもすでに171人が待機となります。ただし、先に述べていますが、定員割れしている放課後児童会もあり、区の中の一部の地域に申込が集中すると待機児童数が増えることになります。
従って、単に数を増やしても解消しない場合もあるというもどかしい課題があるのです。

では、どうなったらよいのでしょう。子どもの居場所の選択肢が増えることが一番望ましいのですが、ひとつは入会申込が増えた校区に対して学校または地域の公共施設が子どもファーストでスムーズに対応してくれることが望ましいですね。
また、民間の団体や個人が学童保育を始めることに対して、手厚い補助を行政が行い支援するのもひとつの方法ではないでしょうか。これまで志高く、子どもたちのためにと民間学童を始めたものの、高い保育料を親からとれないために経営が傾きやめてしまったというケースが多々あったからです。
この他、幼稚園を活用するということも考えられますが、こちらも補助が必要となるでしょう。
保育施設同様、子育て支援を推進するのであれば、官と民、相互の強みや特徴を活かす方法を施策として早急にとってほしいものですね。

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