04.20
保育園待機児童問題・浜松市の場合(1)なぜ定員拡大しても「入れない」?
待機児童問題・浜松市の場合
- なぜ定員拡大しても「入れない」?
- 「保育園落ちた」は、なぜ起きる?
- 待機児童解消への道筋は?
この春「保育園落ちた日本死ね!!!」の投稿が話題となり、国会でも取り上げられたことで待機児童解消に向けて緊急対策が打ち出されるなどのきっかけになりました。
タイトルや言葉遣いは過激でしたが、内容(深刻な待機児童問題)については現実に起こっていることで、浜松市も例外ではありません。
昨年度の浜松市の待機児童数(平成27年4月1日時点)は407名でした。
全国の市区町村の中で6位、静岡県内で圧倒的1位、県全体の待機児童数780名のうち半数以上を浜松市が占めています。都市規模や人口の違いもあるため単純比較はできませんが、ワーストの上位に並んでしまうのは不本意なこと。なんとか待機児童を減らそうと、平成28年度に向けて約1200名の定員拡大が行われるなど様々な対策が実施されました。
今年度はまだ始まったばかりで、正確な待機児童数の発表は行われていないため、保育施設の募集数と応募状況を公開資料からNPO法人はままつ子育てネットワークぴっぴが独自に集計分析(※)してお伝えしていきたいと思います。
子どもの年齢で異なった申し込み状況
認可保育施設(認定こども園、保育園、地域型保育事業)の平成28年4月入園の申込みにおいて、一次受付(11月後半~12月)では全体で2440名の新入園児の募集がありました。
希望者の多い0~3歳児は1941名の募集に対して、2480名の申込みがあり、539名の申込超過となりました。年齢毎の超過数は0歳児24名、1歳児が一番多く 337名、2歳児120名、3歳児58名でした。
逆に、4・5歳は募集人数よりも申込者数の方が少ない結果となりました。
一次受付で入園保留になってしまった人、一次受付で申込みをしなかった人が対象の二次受付は、募集数が少なくなるため、応募倍率はさらに高くなりました。
1歳児は超難関だった、平成28年度4月入園
育児休業の期間は子どもが生まれた日から1年間(1歳の誕生日の前日まで)となっています。しかし、浜松市の待機児童数は、平成27年4月時点ですでに407人もいて、年度途中の入園は0歳児でも難しい状況でした。すんなりと保育園入園が出来ず、育休を延長して空きを待っていた人たちも4月入園の一斉受付時に申込みをするため、特に1歳児は申込み数が募集数を300名以上も上回る超難関となってしまいました。
保育施設は増えているが、需要がそれを上回る
もちろん浜松市も無策ではなく、毎年のように保育施設を増やしています。
平成24年からの4年間で、3,921名の受入枠の拡大が図られ、実際の総入所児童数は2,555名増加しています。ところが、需要はそれを上回って増加し、待機児童は減るどころか、逆に増加しています。
では、入園申し込みに対してどのような選考が行われ、どのような結果となったのでしょうか。次回ではそれについて見ていきます。
※データに関する補足
◆ 参考にした資料
1次受付募集数(平成27年11月20日公表)
1次受付申込状況(平成27年12月18日現在 希望園変更確定後)
2次受付募集数(平成28年2月1日公表)
2次受付申込状況(平成28年2月10日現在 ※希望園変更期間の最終日前日に公表、最終申込者数の公表はなし)
◆ 数字を見る際のご注意
区別、年齢別の傾向をお伝えするため、公開された資料をもとに、NPO法人はままつ子育てネットワークぴっぴで独自に集計をしています。
超過人数は、区ごと年齢ごとに合算しているため、園別の超過人数の合計とは異なります。
この募集数は、「優先入園枠」を除いた数字です。「例えば、上の子が通う保育施設に、下の子が1歳6カ月になるまでに育児休業からの復職で入園を希望する」場合や、「2歳児までを預かる施設(小規模保育所・事業所内保育所等)から指定の連携保育施設へ」という場合は優先入園となります。
これらの入園希望者数を差し引くため、0歳児クラスでも、募集がなかったり、1~2名しか募集数がなかったりすることがあります。
また、募集数は、園ごと年齢毎に決められている定員を下回っている場合がありますが、これにも理由があります。園児の受け入れは、面積等の施設の基準による定員と、職員配置の両方を満たさなければならないことになっています。例えば、0歳児は3人につき1人以上、1歳児は6人につき1人以上の保育士を配置すると決められています。募集時点において保育士の配置が未定であれば、施設の条件を満たしても園児を受け入れることが出来ず、募集数が少なくなります。このような場合は、今後保育士が増員されると、募集枠が追加されることがあります。
その他、在園児の退園や、年度途中の定員弾力化等の理由で、入園可能者数は流動的になります。
このため、実際の入園受入数や、今後浜松市が公式に発表する待機児童数とは異なる場合があります。