04.21
保育園待機児童問題・浜松市の場合(2)「保育園落ちた」はなぜ起きる?
待機児童問題・浜松市の場合
- なぜ定員拡大しても「入れない」?
- 「保育園落ちた」は、なぜ起きる?
- 待機児童解消への道筋は?
「希望園」が優先される入園選考の仕組み
浜松市の保育園の選考は、勤務時間、勤務日数、世帯の状況等がポイント化された「利用調整基準点」によって入園が決まる仕組みになっています。
さて、点数が高い人から保育園に入れるのかと言えば、そうとは限りません。選考は次の(1)→(2)の順に行われます。
(1)第1希望の施設の申込数が募集定員に満たない場合は、第1希望の園に入園内定
(2)申込数が施設の募集定員を超える場合は、利用調整基準点数の高い順に入園内定
この選考方法だと、「第1希望をどこにするか」の違いで、同じ点数でも保育園に入れる人と入れない人が出てきてしまうのです。
希望者が集中する園に申し込んだ場合、正社員フルタイムで点数が高くても入園できないことがある一方、希望者が少ない園では勤務時間数が少ないパートでも入園できるというケースが出てきます。
選考方法については賛否あるようですが、浜松市は全国で2番目に面積が広く、通園可能な範囲が限られている地域もあるため、希望優先の入園選考がされているとのことです。
他の保育施設を選べば入れたケースも
「小規模保育」や「事業所内保育」は、平成27年度から始まった「子ども・子育て支援新制度」の「地域型保育」という枠内で行われている事業で、待機児童の約9割を占める0~2歳児の保育ニーズに応えるために設けられました。
保育の様子はこちらの取材記事で紹介しています。
実は、小規模保育や事業所内保育は、一次受付の時点では申込数が募集数を下回っているところがあり、申込みが多く激戦と言われる1歳児でも、第1希望で入所要件を満たしていれば入園が可能な状態でした。
地域型保育事業(小規模保育・事業所内保育)の申込み状況
※天竜区は対象施設がありません。
3~5歳の保育は供給過多、幼稚園は定員割れ
保育施設の4~5歳児は、新設の認定こども園・保育園を中心にまだ受け入れに余裕があります。
また、浜松市立幼稚園の3~5歳は軒並み定員割れです。
平成27年度 浜松市立幼稚園 定員と在籍園児数(一部抜粋)
参考資料:(浜松市ホームページ)
各幼稚園の園児数(PDF:54KB) / 定員一覧(浜松市立幼稚園園則)
0~2歳児は待機児童も多く、まだまだ受け入れを増やさないと追い付かない状況ですが、3~5歳は幼稚園を含めた総受入枠を考えた場合、現在すでに「足りている」状況です。
しかし、現状の幼稚園は保育時間の長さ、長期休業中の対応等、”就労”を支える面で難しい部分があります。働く親の増加にともなって、保育園は入れないのに、幼稚園は定員割れというアンバランスが生じてしまっているのです。
このため、浜松市では市立幼稚園の閉園や認定こども園への移行が検討されていますが、地元の理解がえられず難航している地域もあるようです。
次回は来年度予定されている保育施設の新設計画をお知らせしながら、待機児童解消への道筋を考えてみたいと思います。