2016
02.17

どう見る?男性の育休取得

ぴっぴのニュースクローズアップ

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「男性の育休取得について」緊急アンケートを実施!その結果は?
昨年12月、自民党の衆院議員夫妻の出産にあたり、男性(宮崎謙介)議員が1か月の育児休業を取りたいという意向を示したことから、厚生労働省のイクメンプロジェクトの座長や国会議員の間で様々な意見が飛び交いました。発端が国会議員なので議論の場の中心は東京でしたが、ここ浜松では、この出来事はどのように受け止められていたのでしょうか?
ぴっぴでは、「男性の育休取得についての緊急アンケート」と題したアンケートを実施し、自由回答を重視して意見を集めました。
【実施期間】 2016年1月21日~2月8日
【回答者数】 38人
  性 別 : 女性(28人)、男性(10人)
  年 齢 : 20代(4人)、30代(12人)、40代(18人)、50代(4人)
  居住地 : 浜松市(35人)、静岡県内(1人)、それ以外の地域(2人)
アンケート内容
【質問①】男性国会議員が育休取得をすることで、今後は世間で、男性が育休取得することのハードルが下がると思いますか?
【質問②】そう答えた理由(自由回答)
■多くの人が、ハードルは「下がらない」と答えたが…
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質問①でハードルが「下がる」と答えた人と、「下がらない」と答えた人の割合は、概ね2対3となりました。しかし、回答は自由回答を読むと、単に「YES」「NO」で分類できるものではありません。
「YES」「NO」にも段階があるのだということ、職業によっても考え方が違うことがわかります。以下で見ていきましょう。
■回答者の職業別に見ると…
職業別では、民間の会社員が「YES」と答えた中では40%、「NO」と答えた中では18%となっています。公務員や医療関係者には「YES」と答えている人はいませんが、「NO」と回答する中で、公務員は13%、医療関係者は17%を占めます。この人々は、自分たちの立場とは異なり、民間企業ではまだ男性の育休取得への理解を得るのは難しいのではないかと考えていることがわかります。
■自由回答から読み解く「男性の育休」理想と現実のギャップ
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自由回答によると、「YES」と答えた人のほとんどが、「国会議員という国民の信託を受けた立場の人が育休を取得することがきっかけとなって取るハードルが下がるのではないか」と期待しています。
中には「議員が育休取得することで明日からすぐにというわけではきっとないだろうけれど、小さな一歩に違いない」という回答もありました。
「NO」と回答した人の意見はその逆です。「国会議員は特別であり、民間企業とは違った立場の人であるから、なんら一般の人には影響しないのではないか」と考えている人が多数でした。また、それよりなにより身近な上司、経営者、企業の理解がないと変わらず、未だそういう企業は少ない」と感じています。「育休よりも早く夫を自宅に帰してほしい」と願う切実な妻の声もありました。ハードルが下がることについては「NO」と回答し、「現実は進まない」と嘆きながらも育休については「大賛成」という回答者もいます。
このように、全体からみると、誰もが男性の育休取得を望んでいるものの、現状や実際の待遇面を鑑みて「難しい」「変わってほしい」と願っていることがわかりました。問①のYESとNOは同じコインの裏表だということができるでしょう。
中小企業だからこその、柔軟な働き方を考える
この度の男性議員の育休取得については、地方に住む私たちにとっても「東京」という枠を超えて議論する良い材料となりました。議論の中では、国政を司る議員という職業の特殊性も焦点になりました。ところが、後日宮崎議員のスキャンダルが週刊誌で報道され、育休以前に人として、国会議員として問われることになり、論点がずれてしまうことになりかねない状態となってしまったことは残念です。
大企業が集中している都心とは違い、90%以上が中小企業という浜松。大企業のように育休制度が整った企業ばかりではありません。先日も市長との雑談の中で「製造業も多い浜松では、自由に仕事時間を配分できるようなIT企業等ならよいが、工場の製造ラインを持つ企業ではやり繰りがたいへんだ」という話も出ました。まだまだ議論は続けていく必要性はあると思われますが、まずは残業をしない働き方、子どもの行事や病気に対処できるような柔軟な時間の取り方ができる働き方に変えていくことが第一でしょう。
勤務内容や配属場所に応じた対処の仕方を先進的にやっている企業を真似てみるのもよいかもしれません。だめなら方法を代える。それができるのは小回りのきく中小企業ならではの長所ではないでしょうか。