2009
12.11

「障害者週間の集い」参加報告

お知らせ

障害者週間の集い
12月3日(木)、東京の日本学術会議にて、障害者週間の集いがあり、参加しました。
昨年のこの日、麻生元内閣総理大臣より、ぴっぴが表彰されたので、あれから1年もたち、政権交代もあり、ずいぶん世の中が変化したのだなと感じました。
今回は障害者週間のための作文とポスターの最優秀賞の方の表彰式と、シンポジウムが行われました。
◆表彰式
内閣総理大臣表彰は、内閣府特命担当大臣の福島みずほ氏が行いました。
大臣からの言葉は、
「(表彰された作品はいずれも)障がいのあるなしにかかわらず、共に尊重しあえることの重要性を伝えるもの」
ということと、最後に、
「いっしょにがんばりましょう。」
という力強い言葉がありました。
今回の応募は、作文が5,255作品、ポスターが1,617点、全国から寄せられたそうです。
作文の小学生部門は、自分の義足についての学校の友だちや下級生とのつながりのようすを書いたものであり、自らが積極的に義足についての理解を下級生に話して接するという内容でした。高校生・一般部門では、障がい者の施設で働く職員が、Aさんという施設利用者の個性に合わせて交流していく様子がユーモラスに語られつつも、障がい者の選挙権に関する意見が含まれたものでした。
いずれも、若い世代から障がい者と健常者が関わりを持ちながら生活をしていくことの重要性と必要性を感じるものであり、障がいをその人の個性として受け止め、お互いに過ごしやすく生活していける世の中になるといいのではないかと感じさせられました。
◆基調講演
基調講演では、「地域全体で障害のある子どもを育むために」というテーマで、日本福祉大学教授の渡辺顕一郎氏が話されました。
障がいのあるふたりの大学生を例に、「障がいは軽度で高校までは学級委員などもやってきたA君」と「重度の障がいのあるB君」を比べ、学校生活を不自由なく送っていたのは最初はB君だったという。理由は、
「手伝って」
「ちょっと待って」
という言葉を友だちに伝えられるかどうかの違い。
これらの言葉が友だちに伝えられるB君は、友だちにいろいろ手伝って貰っているけれど、そんなことで友だちが離れては行かないということを知っていたそうです。
一方、ADL(日常生活動作)としてはそれ程不自由がなさそうなA君は、これらの言葉を友だちに言ってしまうことが、「友だちの迷惑になってしまう」と思っていて言えずにいることにより、B君以上に学校生活に不自由を感じていたということです。
ある時、二人がそのことを話し合ったのをきっかけに、A君も変化していくそうですが、障がいのある人の健常者に対する遠慮や生活の不自由さというものを感じられたのと同時に、健常者同士でもお互いの信頼関係の構築には時間がかかって大変なように、障がい者と健常者との信頼関係を築き上げていくことが大切だと感じました。
◆事例発表
西陣児童館館長の水谷洋一氏からは、児童館での障がい児へのサービスについて、札幌のむくどりホーム・ふれあいの会代表柴川明子氏は、最初、自宅を開放し、補助金もないところからスタートし、障がいのあるなしや年齢に関わらず、気軽に立ち寄り仲間作りできる場所として、毎週月・火・土曜日の10時~16時まで、参加費無料で自由参加ができる場を提供してきたこと、姫路市総合福祉通園センターの宮田広善氏は、障がいのある子どもたちの乳幼児期から成人期までの一貫した支援と療育の為に、「育児支援」を行うことの必要性を話されました。
普段、障がい者と健常者を分けて考えたり接したりしていないようでも、目に見えない壁があったり、それを障がい者の側が不自由と感じているということに気付きました。
そのことから、子どもの頃から同じ世界観のなかで育つことが大切であり、それによって同じ時間をすごしたり、いろいろなことをそれぞれの立場で感じることの経験が、お互いを尊重するということにつながるのだと感じました。また、障がい者の当事者支援だけでなく、障がいのある子どもを育てている保護者の支援もより一層必要であり、それは、私たちが普段考えている子育て支援と通じるものがたくさんあるのだと思いました。   (わかば)