2012
10.09

心の備えどう結びつける? 寺島英弥さん講演会

事業:その他

福祉講演会 心の備えどう結びつける?~「河北新報」編集委員の震災記録300日
<悲から生をつむぐ~「河北新報」編集委員の震災記録300日~>の著者
寺島英弥氏を講師に迎えた講演会が9月30日(日)浜松市福祉交流センターで行われました。
浜松市社会福祉協議会主催ですが、ぴっぴは以前から交流があった寺島さんへの講演依頼とお手伝いをしました。

寺島さんは、「地域SNSふらっと」で震災3日後の3月14日から「余震の中で新聞を作る」をこれまで80余も書いてこられています。今年、このブログが『悲から生をつむぐ「河北新報」編集委員の震災記録300日』 として書籍となりました。お立場から様々な視点で講話をされ、講演会や司会などでお忙しい日々を過ごされているにも関わらず、東京から西部はほとんど異国(笑)とおっしゃる寺島さんに無理を言って講演をお願いしました。

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当日は、台風17号が接近しており、講演終了後の夕方には浜松にかなり接近する模様という予報で、多かった申込のキャンセルが相次ぎました。共催側(ぴっぴ)としても寺島さんが東北の状況について経過を追って体験できるほどデータを集めてくださっていたので参加者に理解してもらうチャンスであったのにとたいへん残念でした。

最近、県内では東海地震第3次被害想定が出たこともあり、特に沿岸部、河川沿いに生活の場がある人にとっては大きな関心ごとです。これまでの阪神大震災、中越地震などの経験にさらに津波という被害や原発という人災までもが発生した東日本大震災、同じ環境下にあるとも言える静岡県です。主催者側(社協)と共催側(ぴっぴ)の打ち合わせでは、震災地の発災から復興途上に至る今日までを知り、いかに備えておくかを再考するにはいい機会ではないかとなりました。社協側としては、災害ボランティアを多く派遣したが、ほんとうに災害地で役立ったのだろうかという懸念があるという意見もありました。東北支援をする中で、被災された方々に少しでも役立ちたいと思うことと、そして、もしかしたら、あすはわが身かもしれない私たちなので、得られることは吸収しようという貪欲な気持ちもあります。

講演では、多くの資料が出されました。震災時の障害者の死亡率についてのデータから集団移転用地に至るまでの記事、寺島さんの著書にあるりんご農家さんの風評被害の苦悩や津波で子どもを亡くした親が集う「つむぎの会」についてなど束になった資料を紹介してくださいました。寺島さんの話にあったのですが、震災後、ふだんからの新聞は防災について情報提供でしかなかったことを痛烈に反省し、この教訓をもとに各地の実体験などを編集してデータベース的に役立つ防災・減災のページとして、毎月、11日に掲載しているそうです。数部、9月11日付の河北新報が回覧されました。

被災された地域から多くの体験を携えて講演者が来られます。それぞれ違った視点からの経験談やアドバイスです。これまでにも震災が起きるたびに多くを学び活かされてきました。東北はやや遠いけれど、未だに復興ままならぬ被災された方々が多くいます。つい目先のことがいっぱいで言葉からは出なくなってしまってはいるかもしれないけれど、決して、震災のことを忘れているわけではないと思います。東北の人々から「忘れ去られるのは怖い」という言葉を聞いたことがありますが、東北からも現状を発信し続けていただきたいと思います。遠くにいてもいろんな形で応えていくことはできるでしょうから。

<hiro>