02.10
鬼怒川決壊による常総市水害から~災害時に保健師が直面したこと~
2月9日(土)13時から14時30分防災学習センター(はま防~家)で常総市の保健師の染谷早苗さんにお話いただきました。
5年前、常総市では鬼怒川が決壊しました。浜松でも天竜川を「暴れ天竜」と昔から言われていたように、鬼怒川も「鬼が怒る川」とも呼ばれ、同じ一級河川で決壊すると相当な被害が起きると言われていたところです。2002年にも被災されたそうですが、地震だけでなく、近年は水害も大きな災害です。
河川が決壊する前の写真や決壊後の被害をもたらした写真などが、公開されました。津波被害と変わらず、家が流されたり、傾いたりして、水に浸かるとあと始末もたいへんなものだとわかります。
保健師さんなので、公衆衛生から、災害要援護者に対するサポートなど、お聞きするだけでも相当なエネルギーが費やされ、染谷さん自身も家が被災したにも関わらず、任務につかねばならなくて5日間家に帰れなかったと言います。他の保健師の家庭で、中には、家に残る子どもたちが不安で刻々と迫る水害に怯えて連絡をしてくる姿があったそうで、そんな姿を想像するだけでも気が気ではなかったのではないでしょうか。
行政職員は市民をサポートするのは当たり前という意識が、こういう時、多くの人の意識の中にはあります。被災してしまうと、頼れるのは行政しかないと思うのは仕方がありません。しかし、行政職員も同じ市民。自分だって被災しているんだと声を挙げたいでしょうが、必死に任務について帰宅も儘ならず疲弊している中で、つかの間の休憩に、「市民の水を職員が飲んでるなんて」とか、「職員が食事をとっているとは何事か」と非難されてしまったのはどうでしょうか。ご本人は、隠れてわずかな時間を過ごしたと言います。
熊本の被災地に行った折も、行政職員が同じ目にあい、しばらく経って「辛かったですね」と外部から支援に入った民間団体の人が様子を知って言われた言葉に、張り詰めていた糸が切れて泣き崩れたという話があります。
私たちも、全て行政職員がなんとかしてくれるというのは期待しない方がいいかもしれません。行政職員が東日本大震災で自身も被災した中で、任務についたのは4割だったと聞きます。
自分の身は自分で守るという言葉を心に焼き付けながら、行政職員にお世話になるのは、結構たいへんな要援護者になった時と自覚することなのかもしれません。
今回、一般市民や支援者、行政職員、議員の方々のお顔がありました。様々な立場で聞いていただきどんな感想を持たれたことでしょう。いつかのために活かせるよう願います。
この講座、申込が多く、定員の1.5倍の競争率でした。今回、来ていただけなかった申込者にも本来、聞いていただきたかった内容です。今後も機会をつくりたいと考えています。
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