2016
04.22

保育園待機児童問題・浜松市の場合(3)待機児童解消への道筋は?

ぴっぴのニュースクローズアップ

待機児童問題・浜松市の場合

  1. なぜ定員拡大しても「入れない」?
  2. 「保育園落ちた」は、なぜ起きる?
  3. 待機児童解消への道筋は?

保育施設は来年度以降も増え続ける

浜松市は幼稚園の再編やこども園への移行も含めて、早期の待機児童解消を目指しているそうです。
そして、さらに今後も保育施設を増やす計画になっています。平成29年度は1,180名の定員増が予定されていますが、その数には(現在既に受け入れに余裕がある)3~5歳の定員も含まれます。

平成29年4月開所予定の保育所と認定こども園
平成29年4月開所予定の保育所と認定こども園

平成28年度当初予算 私立保育所等施設整備助成事業(浜松市ホームページ)より

保育施設を探す保護者がやっておきたいこと

「相談機関を活用する」「先輩たちの経験を聞く」

認可保育施設の申込み窓口となる各区役所には、保育を希望する保護者のニーズを把握し、希望や勤務形態に合った保育サービスの情報提供をする「保育相談員」がいて、他都市でいう保育コンシェルジュ的な役割を担っています。
窓口では、入園選考の基準となる点数表をもらうこともできます。自分の就業状態だったら、どのくらいの点数になるのかも知っておきたいですね。
また、NPO法人はままつ子育てネットワークぴっぴでは、ハローワーク浜松と連携して、毎年各区で出張マザーズコーナーを開催しています。この講座では、子育てをしながら働くための心構え、保育施設の情報提供のほか、お迎えに間に合わない時、病気になってしまった時など職場復帰後にも必要になる保育サービスについても情報提供を行っています。

これらの相談機関を活用したり、先輩たちの経験を聞いたりして情報収集をしておきましょう。

選択肢を複数考えておく

もし、職場復帰までに保育園が決まらなければ仕事をやめなければならない、せっかく決まった採用が取り消される……という状況でしたら、「どこにも預け先がない!」という事態はなんとか回避しなければいけません。4月入園の一斉申込時には希望園の変更期間が設けられています。締め切り後に応募者数が発表されるので、そこから1週間で希望園の変更をするか、しないかを決断しなければいけません。
選択肢として、小規模保育や事業所内保育、認証保育所、認可外保育施設も含めて第1希望の園以外についてもあらかじめ調べておくことが必要です。希望園に申込みが集中しているようだったら、比較的余裕のある園や小規模保育や事業所内保育がないか、区役所で相談をしてみましょう。

3歳児以降なら幼稚園に預けて就労するという選択も

以前は「働く親は保育園、働いていなければ幼稚園」というイメージがありましたが、認定こども園への移行が進む中で、その垣根がなくなってきています。 私立幼稚園は保護者のニーズに対応するため、ほとんどの園で夕方5時以降の預かり保育を行っています。満3歳、もしくはそれ以前から通園できるところもあり、幼稚園の「預かり保育」を利用して仕事をしている保護者もいます。また、浜松市立幼稚園も一部の園では預かり保育が実施されています。

働く親 = 保育園という図式にこだわらず、小規模保育や、幼稚園の預かり保育等の活用によって、働き方のスタイルに合わせた利用施設を選択をすれば、待機となるケースを防ぐことが出来るかもしれません。
保護者は候補となる保育施設について事前に情報収集し、自分たちのワークススタイルにあった保育施設を選んでいくことが解決の糸口となるのではないでしょうか。

保育需要の予測とコントロール

浜松市はもちろんこれまでも保育需要の予測を立てて保育施設を増やしてたのでしょうが、働き続ける女性が増加する見込みや、働きたいけれど待機児童が多くて保育園には入れないとあきらめていた人の潜在需要を把握しきれなかったのかもしれません。将来の少子化を見越して控えめに予測していたのかもしれません。結果的に、ここ数年は保育園をつくり定員を増やせば増やすほど、希望者も増えるいたちごっこになってしまっています。

保護者が「保育園落ちた」と悲鳴をあげる中、浜松市では平成29年4月には14園(定員増も含む)の保育施設が増えることになっています。緊急対策として施設を増やすことに力がそそがれていますが、それは多額の税金との投入とセットとなることもよく考えていかないと、後で大変になってしまいます。税金を負担するのは私たち市民ですから。
なぜ、今年の申込みで認可保育所に申込みが集中し、地域型保育事業の希望者が少なかったのか? 幼稚園の受け入れの余裕を活かすにはどうしたらいいのか? を分析して、増やすばかりでなく、今ある保育資源を活用するためのコントロールをしていくことも必要ではないでしょうか?